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イラン在住4年間の写真集とイランを舞台にした小説です。


by EldamaPersia

遥かなる遺産 あとがき

全体が妄想のような話でしたが、念のため事実のところを強調しておきたいと思います。

文献を総合してまとめると、

ミトラ教は、アーリア人がミトラを神とした宗教で、イラン北西部にいたイラン・アーリア人のミトラ信仰が元になって、ミトラ教が作られた。その後、分派として拝火教が作られた。

拝火教では、善の神アフラ・マズダと悪の神アーリマンが絶え間なく戦い、最後に悪は敗北し、世界は終末を迎え、人は最後の審判を経て救済されるという。

ユダヤ人は拝火教から終末論を採用し、ユダヤ教を作り上げた。それがキリスト教にも受け継がれている。

一方、インド・アーリア人は、ミトラ信仰を元に、土着の信仰を取り込んでバラモン教を作り、そこからさらにヒンドゥー教や仏教が作られた。仏教の「弥勒」の起源もミトラといわれる。

ユダヤ教とキリスト教、それにイスラム教が同じ起源をもつことは周知のことであるが、ミトラ教まで遡ると、ヒンドゥー教や仏教まで同じ起源といえる。

となります。

イラン北西部で生まれたミトラ信仰が、今世界にある有力な宗教の起源になったようです。仏像やイエス・キリストや聖母マリア、その他聖人たちの頭の上にある光の輪は共通したもののように見えます。オーラだったら全身から出ていてもいいように思いますが、なぜか頭の上だけのようです。

拝火教は、ゾロアスター教とも言いますが、善と悪との戦いという考えは、現在世界中で起きていることをみると、今でも成立しているように思えます。3,000年前のイラン人が作り出した信仰だとすると、全世界に影響を与えたことになりますから、素晴らしい天才がいたのでしょうか。あるいは今回のお話のように宇宙人によってもたらされたものなのでしょうか。

善と悪、両者を仲介して健全な進歩をもたらす可能性のある、ズールワンという神の知恵、それを私たちが見つけ出さないと人類は破滅の方向に進んでしまうかも知れません。



最後にもう一つ。先日テレビでルーブル美術館の番組をみていたところ、「サモトラケのニケ」という有名な像が映し出されていました。スポーツ用品などで有名な「ナイキ」がこの「ニケ」から来ていることをご存知な方もいらっしゃることでしょう。

「サモトラケのニケ」は紀元前2世紀頃の作品だそうで、勝利の女神ニケの彫像だといわれています。ギリシャ神話がミトラ教の影響を受けていたことを考えると、この優美でダイナミックな姿を持ち、翼を広げた女神像は、ミトラ像かも知れないと思いました。
by eldamapersia | 2007-10-02 01:00 | 遥かなる遺産 Part6